受賞
PRIZE
イントロダクション
INTRODUCTION
伝統と現代性の対比を独特のユーモアで鮮烈に描いたデビュー作
公開から22年の時を経てフランマルティーノの幻のデビュー作が、ついに日本初公開。監督の実祖父アンジェロ・フランマルティーノを主演に迎え、人口流出によって廃村寸前のカラブリアの小さな村を舞台に、老いた男の最期の日々を独特のユーモアを持って静かに見つめる。プロの俳優を一切使わず、土地に生きる人々とともに撮影された本作は、「伝統と現代性」「生と死」「共同体と孤独」という普遍的なテーマを、対話をほとんど持たない80分の映像詩として結晶させた。4Kレストアによって甦ったカラブリアの風景の細部、やや翳りを帯びた色調に浮かび上がる光の変化と、時間の経過を感じさせる物質の質感──20年以上前の作品でありながら、現代の映画体験として圧倒的な存在感を放つ。2000年代初頭の「スロー・シネマ」ムーブメントの重要な一作として、2025年7月にNYのメトログラフ劇場でリバイバル上映が行われるなど、映画史的再評価が進む傑作。
ストーリー
STORY
南イタリアの過疎化が進む田舎の村に暮らす老いた男。ある日、老犬の埋葬を手伝ってくれた青年たちが、携帯電話と共に1枚の紙きれを忘れていく。それは、個人的な目的で撮影されたヌード写真だった。後日、老人は村で1人の女性に目を留める。その女性は、写真に写っていた人物だった…。
レビュー
REVIEW
曲がりくねった石畳の道や、なだらかな丘陵といったメランコリックな空虚さが漂う過疎化が進む港町、高齢の住民たちの思慮深い動きが、その孤独さと陰鬱さを際立たせている。若い女性は、逃げる術を知らない。閉ざされた社会の持つ呪縛と静かに近代化が進む廃村を詩的に描く。私たちは、彼らの暮らしが消え去っていくのを感じながらも、強く引き込まれ陶然としてしまう。
ニューヨークタイムズ
何気ない虐待の中に見える思慮深さや人間味は時代を超え、イタリアの雄大な丘陵地帯が観る者に人類の小ささと、その行動がお互いに大きな影響力があることを突きつける。
The Movie Isle
フランマルティーノ監督は、キアロスタミの淡い美しさとアラン・クラークの容赦ないほどの正直さを融合させ、時に見ていて不快になるほどの作品に作り出す。静謐な画の下には、人間の深い混沌の渦がある。この監督のデビュー作は、時が経つにつれ、その驚きの力はさらに増している。
LOUD AND CLEAR